REHACARE(Self-determined living)in Düsseldorf

リハビリテーションに関する展示会REHACAREに参加。視察した内容をメモ。

1.当事者がどれぐらい関わっているか。

出展サイドでは、私が認識できるのは外見で分かるものに限られてしまいますが、おそらく聴覚に障害がある人が接客を担当されているのと、車いすに乗っている方がデモンストレーションと来客応対をされているのを見ました。私が見つけられたのは、その二人だけです。

今回の展示会での売り方、見せ方のスタイルとしては、①商品のことを知っているセールスの人が使い方やメリットを説明する、②実物を来場者が使ってみる、というのが主。

今回の展示会を見た感じでは、デモンストレーションは当事者がやった方が説得力が出る面があると思うので、もっとそういう仕事に当事者が(例えば、メーカーの職員としてや、ショーの期間の短期契約で)採用されてもいいのではないかなと思いました。例えば日本で展示をする時は、日本人の当事者、ドイツで行うときはドイツ人を登用して、商品の強みをアピールしたら、もっと売れるんじゃないか、社会的にも意味があるのではないかと思いました。

企業による展示を離れてイベントに目を向けると、トーク系のイベントでは当事者の方が主役になっていました。英語で話し、ドイツ語で通訳を付けて、とか、現地ドイツの言葉で話す、という感じでした。それ以外には、車いすに乗った男性と非車いすの女性のペアダンスのようなエキシビションを行っていました(これもある種の車いすデモでしょうか)。これはかなり盛り上がっていました。100席くらいの会場を複数設定したセミナーも、複数のものが同時展開する形式で開催されていました。行われていました。これらは、ドイツ語で行われており、言葉が全く分からないのでほとんど素通りしました。これらセミナーにも当事者が関与しているのではないかと思われます(私が行ったときは、見た目で分かるような当事者の方は出ていませんでしたが)。

2. 車いすへの位置情報技術や無線通信技術の適用について

位置情報を用いた車いすの位置の特定・走行ルートの記録について:これはVASSILI、Sun Rise Medical、WHILL等に聞いたが、基本的に位置情報を走行ルート記録に使うようなシステムを組み込んでいるものは現状ではないとのことです。そして、様々な人から話を聞いていると、たいてい技術的にはそれを組み込むことができる状態にあるが、それが商品価値の向上に繋がらないと判断して導入していない、ということだと思われました。

現時点で、導入されているもので話に出てきたのは、WHILLやVASSILIで取り入れているBluetoothなどを利用したリモートコントロール技術、それと、路面の傾きなどに自動的に対応して安定走行を実現するためのジャイロです。この辺りの技術は今後、当たり前のように搭載されるようになるのかもしれません。

今後一般化されるかもしれないものとしては、GPS等の位置特定技術を使って家庭内での車いすの位置を把握するシステム、また、WHILLが開発中という、自動車の業界で導入が進んでいるような自動停止システムが挙げられます。また、車いすに乗っている方の頭部の微妙な動きでシートの動き等を任意に調節することができる車いすもありました。これは、ワンスイッチによるパソコンの操作やアイトラッカー(視線入力装置)の普及と相まって、手足や頭の微妙な動きや目の動きを使って、車いすやパソコンなどを操作できるという状況をますます拡大していくでしょう。

3.介助者する人をサポートする機器

介助する人をサポートするものとして目立ったのはリフト系です。簡易な操作で持ち上げて、床面の状況にもよるでしょうが、かなり小さな力で動かせる感じのものです。アーム的なものは見ませんでした。つり上げリフトやリフトアップ式のものが使えないような場面で力が必要な時、助けてくれるようなものがあるかなと思ったのですが、そういうのはマーケットにはあまり出ていないのかもしれません。

3.出展者の属性

来場者はヨーロッパ中心に30か国以上から、メーカーも世界各地から900社以上来ています。そして、メーカーは、例えばSun Rise Medicalのように拠点をグローバル展開しているケースもありますし、拠点が一国にしかなくても、例えばヨーロッパをターゲット市場として販売する、というような売り方になるでしょうから、あまり国別に特徴が出るというようなことはないのかなと感じました。

ただ、そういった中でも、「イギリスの介助グッズメーカーはなんか変わったの出してるな」とかは感じましたが。あと、欧米勢の製品は色にこだわっているなという感じは受けました。そういう点は、ヤナセオートシステムズの木田社長とWHILLの杉江社長の対談に出てくる木田社長の提案と通じるところがあると思いました。「輸入車はカラーバリエーションが豊富で、カラーに対するとだわりをお持ちのお客さまも多いので、車のボディと同色にするサービスがあると、、、」と発言しています。また、会場を眺めていると、幾つかの車いすメーカーは、展示場でBMWやVWなど錚々たる自動車メーカーの車やリフトの展示と同じフロアにいても、モビリティを提供するマシンとしてみた場合、遜色のない輝きを見せていたと思います(VERMEIRENやPARAVAN、Curtiss-Wrightが自動車メーカーと同フロアで自動車と張り合っていた。あえて自動車メーカーと同じフロアを選択しているのではないかと感じた)。

4.驚かされた福祉機器、楽しそうなリハビリテーション技術

・サーッと走って行って消えたので、どこの製品かわからなかったのですが、速い車いす。REHACAREのHPのLIVEのページに、それと思われる動画が上がってました。

・電気牽引車的なもの。車いすに乗ったままスポーツ的走行を楽しめそう。ただ、腕の随意運動と筋力が要求されそう。

・印象としては思ったほどぶっ飛んでるのは無かったです。それよりも、全体的に、マーケットを見て現実的な商品を作っているんだな、という感じを受けました。

5.リハビリテーション(医療)+遊び(ゲーム) の融合

ゲームの要素でリハビリテーションの効果をあげる、リハビリテーションをより魅力的なものにする、という取り組みがあるが、このイベントは車いすなどのモビリティ系や介護のためのベッド、リフト、グッズなどをメインに押し出しているところがあるようで、「遊び」という要素はほとんど見なかった。が、関連のありそうなものが二つ見つかった。

関わりがありそうなものでは、
1)SEETECH(約6000$)というアイトラッカーを出していたHumanelectronik。ずいぶんサクサク動いている感があった。キャリブレーションも楽々、みたいな感じ。ゲーム的な要素を含んでいる感じに見えた。http://humanelektronik.de/

2)龍骨王有限公司(Long Good)という台湾の会社のPAPAMAMAというプロダクト。モーションセンシングなどの技術を使って、体のバランスをトレーニングするソフトウェア+ハードウェアのシステムを提供している。パーキンソン病の患者さんがメインターゲットらしい。http://en.longgood.com.tw/

6.福祉機器を普及・発展させるために必要なものは何か考える。

展示されている商品に使われている技術は、最先端の技術というわけではない。そこにある商品は、需要があること、その商品に使われる技術・機器が消費者にとって手が届く値段で提供できること、という基準を満たしたものであるように見えた。潜在的には需要があるが、現時点で需要がないものには、(特に大手は)手を出さず様子見をしているようだ。

どうすれば、福祉機器を普及・発展させられるのかを考える。

1)ニーズを掘り起こすことで、潜在的な需要を顕在化させ、マーケットベースに乗せる。車いす事業者の人々との対話から、マーケットがあるとみなされて初めて製造・販売に入るというのは明らか。この段階を、企業自身以外では、誰がどのようにして促進するのか検討が必要。

2)どのような機能を提供することが人々の福祉の向上に役立つのかを明らかにする。それを政府による補助金や企業の開発などの施策に反映させる。このような部分で、より産学官の連携は可能なのではないか。

3)「福祉機器」という枠を超えた価値を提供することで、より人々に購入される可能性がある。その商品が、人の人生の価値を向上させる機能をどれだけ提供するか。いわゆる「福祉」の機能だけでこうした商品を語らないことが大事ではないだろうか。

 

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